時間のある方、紙と鉛筆をもってきてください。
用意はいいですか?
よし、はじめ!!
問題
用意したみかんを,集まった子どもたちに4個ずつ配ると23個あまり,6個ずつ配るには7個足りません。子どもたちは何人いましたか?
あ、もちろん、xとかyとか文字は使わないでくださいね。
小学5年生の問題ですから(笑)
さぁ、どうぞーーー。
どうです?
できました??
子どもの人数をx人とおいて、
4x+23=6x-7
とするなら中学生で習う楽勝の問題ですよね。
しかし、xを使うなと言われると、なかなか難しいですよね。
模範解答を見ると、こうかいてあるでしょう。
6-4=2
23+7=30
30÷2=15 答え 15人
「子どもに文字を使って教えてよいですか?」
と、質問されることがあります。
「別にいいですよ」
と、私は答えるようにしています。
ただし、
「方程式しか使えないようには『絶対に』しないでください」
という警告をこめて。
問題に戻りましょう。
用意したみかんを,集まった子どもたちに4個ずつ配ると23個あまり,6個ずつ配るには7個足りません。子どもたちは何人いましたか?
模範解答はこうです。
6-4=2
23+7=30
30÷2=15 答え 15人
模範解答のメッセージ、伝わりますか?
6-4=2
(4個しか配らないのは可愛そうだから、6個に増やしたいんだね。1人あたり新たに2個配りたいんだね。)
23+7=30
(最初は23個余ってたのに最後に7個足りなくなっちゃったってことは、上のようにするためには合計で30個のみかんがあればよかったんだね。)
30÷2=15
(30個のみかんを1人あたり新たに2個ずつ配ろうとしたんだから、割り算で子どもの人数が出るよね?)
模範解答の式には、意味があります。
その意味を、あーでもないこーでもないと四苦八苦しながら考える力は鍛えられます。
文字を置くことの便利さは、時として彼らの成長を止めます。
便利な道具が人間の成長を妨げている例など、世の中に溢れかえっていますよね。
だから敢えて与えない。
そういう姿勢も大事だと思うのです。
4x+23=6x-7
実は方程式でも同じ計算をしますよね。
6x-4x=23+7
2x=30
x=15
結局(23+7)÷(6-4)をするわけです。
解き方は同じですが、明らかに解法から伝わるメッセージが違う。
文字の便利さは、解答から発せられるメッセージを弱める恐れも含んでいるのです。
「子どもがいきなり図をかき出して、子どもが何人でみかんが何個か予想しようとしているんですけど・・・」
そうです。それでいいんです。
小手先の方程式なんかで答えを出すことなんて、近い将来ほとんどの人が出来るようになるんです。
それよりも、自分の手で何とかしようとする姿勢の方が遥かに素晴らしい。
予想が当たればそれはそれで素晴らしいし、外れてもその経験は糧になる。
もちろん、どちらの場合でも予想だけの解法では不十分なので、しっかりとした解法も勉強すればいい。
算数が何であるんだろうと考えると、そんな発想になってしまうんです。
算数で子どもに与える問題なんて、必ず既に答えが出ている問題です。
ではなぜ、既に答えが出ている問題を子どもに与えるのか。
子どもがちゃんと出来るかチェックするため?
いいえ、違います。
子どもが将来、答えが出ない問題にぶち当たったとき、粘り強く考え抜き、勇気を持って行動できるようにするためです。
少なくとも私はそう思っています。
だから、簡単に誰かに答えを求めちゃいけない。
簡単に「そのやり方じゃダメだよー」と馬鹿にしてはいけない。
そう思うのです。
自分で一生懸命考えた上で分からなければ、解説をじっくり読めばいい。
解説をじっくり読んでも分からなければ、親や先生に質問すればいい。
そんなことを小学生のうちからやっていれば、将来社会に出たときにも役立つと思うんです。
「ヒントだそうかー?」
今日は4年生の授業でこんなことを言いました。
どうにもこうにも手がつかない問題があったようです。
「やだ。言わないで。」
すぐに返ってきたのはそんな答えでした。
うんうん。それでいいよ。
その気持ちがあれば、大丈夫。
例題を調べて、解き方を確認していました。
一歩前進です。
勉強を通じて、生き方を学んでくれればなと思っています。
精一杯頑張っている生徒は、輝いて見えます。
彼らのこれからの人生も、それぞれに輝きますように・・・。
西野(智)でした。